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by jq1ocr

FT-817ND への入力強度と S メータ

【訂正】重要な訂正事項を下に追記しています.
Sメータは 34dBu で S9 となるよう校正し,以下,6dB 刻みでふるのが標準と言われていますが,市販されている無線機の刻みはもっと細かいのが殆どのようです.これは使ってみて感じておられる方も多いと思いますし,実際に測ってみた方もいらっしゃるでしょう.以前アッテネータを作って校正してあったのを思い出して,試しに FT-817ND の S メータのふれを確認してみました.

久々に電源を入れた SG の調子があまりよろしくないようなので,こと絶対値に関しては信頼できない(だたし相対値はそれほどずれていない様子なので傾きはあっていると思う)のですが,大体以下のようになりました.(凡例:3.5, 7, 14, 21, 50MHz)
FT-817ND への入力強度と S メータ_d0106518_075740.jpg
FT-817ND における入力信号強度とSメータの読みの関係
Signal strength meter readout correspondence to its input intensity on FT-817ND

ピンクの直線は標準と考えられる特性です.この図を見ると,FT-817 も概ね S9 は標準的な信号強度に設定されていますが,S9 と S8 に大きな隔たりがあり,それ以下は 0.8dB/S くらいになっています.振り始めは遅いですが,振れ始めると S8 まではあっさり触れて,S9 は標準的な強度というような特性を持っているようです.なぜこのような振れ方に設定されているのでしょうか?ノイズフロアの高さを隠すためだとかだったらがっかりだな〜.苦笑 JST-245 の方が静かなので,あとでこっちの振れ方も調べてみることにしましょう.ちなみに S1 を 30dB 程度下回っても,CWであれば弁別可能(ただしもちろんセットノイズのみの環境)なので,試験しているとS1でも結構強い印象があります.

このデータはどのように役立つかと言いますと,相手の出力が分かっているときに,自分の信号が相手にどのくらいの強さで届くかの目安となります.例えば,相手が使用している無線機が 50W 出力で,自分には S8 で入感したとしましょう.自分は 5W 出力とすれば 10dB 差となりますので,Sメータの振れ方が相手も同じ(上の図のような特性)だとすれば,自分の信号は相手に S1 に満たない強さでしか届いていないということになります.そのときのノイズフロアが S3 くらいだったら自分の信号はノイズ以下にしかならないわけですから,相手がパイルになっていたら,さっさとあきらめようという気にもなるわけです.しかし同じ環境でも,相手が S9 で入っていれば,自分の信号は S8 程度で相手に入ると推測できるので,がんばる価値はあるかもしれない,ということになるのです.特に相手より出力が小さいことの多い QRP 運用をする場合は,自分の無線機のSメータの振れ方を知っておくことは役立ちます.逆に出力の大きい人は自分が何ワットで運用しているか言った方が呼ぼうとしている人に親切です.よく「コールのあとに QRP をつける人がいるけど,本来は QRP の人はつける必要はなくて,QRO の人のほうがつけるべきなんじゃないの?」と飲み会とかで(半ば本気で.笑)言っているのですが,それはこのような理由があるのです.
【訂正事項】重要なことを見落としていました.それは測定器の電圧表記が EMF だったことです(縦軸の単位が dBu EMF だったということ).要するに開放端電圧での表記なので,負荷を接続したときの入力電圧レベルは 6dB 下がりますから,グラフの縦軸の数字を 6dB 引いて読んでください.図的には standard は 6dB 上にずらして読んでください(S9 = 34dBu = 40dBu EMF).もともと電圧の絶対量については測定器の校正が大分前だったため,あまり信じてはいませんし,調子もあまりよくなさそうです.また今回のストーリ的には絶対値は関係無いので,暇だったら図の修正をするかも知れませんが,とりあえず注記だけにとどめておきます.

【追記】JST-245 も測ってみました.


Commented by kuromiya at 2009-11-29 23:22 x
たしかにHF帯で10wだと相手が何w出しているか判らないと呼べません。
強く聞こえていてもkwとかじゃカスリもしない。
昨今は6mあたりでも500やkwは珍しくなさそうだし。
Commented by jq1ocr at 2009-11-30 13:36
Sメータの特性が分かっていると,あきらめもつくというものです.笑 
Commented by BWT at 2009-11-30 15:22 x
興味深い測定結果ですね。
うちのFT-2000Dはメーター指示を調整できる(しかも、アナログメーターなのに元がデジタルなので、S1/3/5/7/9が個別にレベル設定できる)ので、きっちりdBリニアになるように再設定したいところです。
ポータブル機やハンディ機はビュンビュン振る傾向が強いです。FM機だとAGCの関係でどうしてもそうなってしまうらしいですが。
無線機の受信レベルがS表示になっているのは普通ですが、メジャリングレシーバーのようなdBμ表記のがあっても良いですね。
Commented by jq1ocr at 2009-11-30 16:00
ARRL 標準だと動きが重く感じると思いますが,そもそもリンクバジェット推定に使いたいわけですから,各メーカーが勝手に決めるのではなくて(ARRLにこだわる必要はないですけど)ある基準にあわせておくべきですよね.実際にはメーカーではどうやって決めてるんでしょうね?
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by jq1ocr | 2009-11-28 00:30 | 無線設備・レストア | Comments(4)