アマチュア無線や電子工作,バイクの話などを徒然なるままに書き散らすメモ程度のblogです.


by jq1ocr

flanctional wave

本来エイプリルフール限定で公開するつもりのエントリでしたが,今年もコメントを戴いたので,冗談ネタだということを明記させていただいた上で,公開を続けることとしました.
今日は昼間から職場の花見だったのですが,その帰りに図書館で今日出たばかりの米国核物理学会論文誌を見かけたので酔い覚ましに読んでいたら,おもしろい論文が載っていました[1].まだ斜め読みしかしていませんが,背景も含めて説明しないと分かりにくいと思うので書いておきますね.

電磁気学を学んだ人なら最初の方で勉強することですが,エールステッドが電流が磁場を作り出すことを発見したことから,ファラデーは逆に磁場から電流を作り出すことができないかと考え,試行錯誤した結果磁場の変化が電流を発生させることを突き止めました.ここで重要なことは定電流は磁場を作ることが出来ますが,静磁場は電流を作り出さず,磁場の時間微分に比例した電流(正確には電場)が生み出されるという点です.実際にはこれはなにもない空間中でも成立し,電場と磁場の相互作用として知られています.この性質を用いたのが電磁波,すなわち電波や光なわけです.

この電磁気力を媒介するものは光子とよばれ,ゲージ理論によればこれは4種の相互作用をもたらすボース粒子(Boson)のひとつとされています.他には重力を媒介する重力子(Graviton),弱い相互作用に関連するウィークボソン(Weak boson),強い相互作用のグルーオン(Gluon)があります.今回の論文の話は重力子に関連するものですが,実はまだ重力子自体は検出されていません.今回の論文で発表されたのは重力子が媒介するのは実は重力波(gravitational wave)だけではなく flanctional wave と名付けられた波(日本語での対訳はまだ決まっていないようです)があって,これが理論的に存在することが証明されたということなのです.flanctional wave というのは,flank方向の波,要するに横波というようなニュアンスを持つ造語で gravitational に語呂合わせしたのでしょう.これは重力波の大きさが変動する(=伝搬する)方向に対し,flanctional wave は空間的な虚数軸方向に存在するとされることから名付けられたようです.なので,ここでは仮に「虚力波」という名前で呼ぶことにします.

現在の相対性理論でとりあげられている重力波は質量が加速度運動をすることなどによって発生するとされているのですが,今回発表された内容では,重力波が質量の変動によって発生した場合,これにより得られた重力波の変動が虚力波の変動を引き起こし相互生起するということなのです.これは電磁界との対称性がとれているように思うのは偶然でしょうか.電磁気において単電荷が存在するのに対し,単磁荷(モノポールと呼ばれます)が実在しない(とされている)のと同様,重力波を発生させる質量に対し,虚力波を直接発生させる,いわゆる虚質量は存在しないもの(ただしエネルギーと等価)とされています.

ところでこの論文を書いた人は物理学者なのであまり重要視していないようですが,この論文の工学的に重要な点は何かというと
mc2 = m'v2
ただし
m: 光子の質量
c: 光速
m':重力子の質量
v:重力波の速度

というところです.元々重力子や光子の質量は0とされていますが,この論文では0ではない(極めて小さな質量がある)としています.そして光子の方が実は重い証拠が見つかったというのです.ここから重力波の伝搬速度は光速よりも大きいこと導き出されるわけです.

このことは空間自体の剛性は電磁波に対してよりも重力波に対しての方が大きいと言うことも示唆しています.例えば,とても硬くて長い棒を考えます.この片方を押したり引いたりすることで,もう片方が出たり引っ込んだりすることを通信に利用するとします.片方を押したときにもう片方が出っ張ってくるまでの時間差は果たして0でしょうか?無限の剛性を持つ物体であればそうなので,情報の伝搬速度は無限となりますが,実際にはこの時間差が光速を上回るほどの硬い物体はないとされています.しかし,重力波に対する剛性が電磁波のそれよりも大きいと言うことは,重力波から見た空間は硬く見えるわけです.今後は超光速という現象以外も物理学の世界では重要な課題となるでしょう.

話を戻しますが,これから重力波の伝搬速度が光のそれより大きいことを利用した,いわゆる FTL(Faster Than Light, 超光速)通信の実用化実験が活発になると考えられます.重力波の電波に対するアドバンテージはなんといっても伝搬路上の静質量(要するに普通の物体すべて)の影響を受けないという点です.なので,地球の裏側とも直接通信が出来るのです.ただし超光速であることを利用しようとして深宇宙通信(月軌道より遠くの宇宙をこういいます)に活用する場合は,恒星からの重力波ノイズ(*)を如何に除去するかという点も重要な研究テーマになることでしょう.ちなみに重力波を発生させるための質量エネルギー相互変換装置も現在考えられているものでさえ持ち運べるような代物ではありませんから,今後は安全性を確保しつつ如何に小さくしていくかというのは重要だと思います.

(*)恒星は全体としては核融合による質量欠損の分のエネルギーを放出しているが,部分的にはこのエネルギーが逆に質量にもどっていく反応も存在する.そのため質量が変動し重力波と虚力波が発生する.


参考文献
[1]A. First and H.O. Avril,"Graviton hatches not only gravitational wave but novel flanctional wave," US Nuclear Phybics Transactions on General Relativity, vol. 800, pp.562-569, Apr. 2010.
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Commented by JA2IQU/kei at 2010-04-01 19:53 x
とても、興味深く読ませていただきました。 参考文献を読むまでは、信じられませんでした。
Commented by jq1ocr at 2010-04-02 09:51
>keiさん
今日出たばかりの参考文献をもう見つけるなんて行動派ですね!なんて.笑

しかし,今年のはあまり受けなかったかも.実は今回は基本的に夢ネタに若干脚色しただけなので,あまり練ってないんです.やっぱり手抜きせずギリギリ寸止めの無線ネタを考えた方が面白かったかな.
Commented by jq1ocr at 2010-04-03 03:28
ちなみに Phybics はもちろん typo じゃなくてわざとです.まあ最初に著者名でジョークなのはお気づきと思いますが.
Commented by JA2IQU/kei at 2010-04-03 06:07 x
光速を超えるというくだりまでは、解りませんでした。
見つけたのは、A.First、Avril、文献の日付、vol.800ぐらいです。
H.O.AvrilのH.O.って何か隠れてますか?
Commented by jq1ocr at 2010-04-03 06:12
ほんとな話も混ざっているので余計に分かりにくいかも知れませんね.笑
H.O は,Firstさんの first name とくっつけると単語になります.
Commented by JA2IQU/kei at 2010-04-04 05:49 x
あっはっはっ..。
了解です。 英語かフランス語だとばっかり思っていました。
久々にエイプリルフール、楽しませていただきました。
来年も期待しています。
by jq1ocr | 2010-04-01 18:42 | 徒然話 | Comments(6)