アマチュア無線や電子工作,バイクの話などを徒然なるままに書き散らすメモ程度のblogです.


by jq1ocr

危険性喚起は定量的に

こんな報道がありました.

携帯電話の電磁波、がん危険性も WHO組織が初めて指摘
2011年6月1日 05時17分
 【ジュネーブ共同】携帯電話の電磁波とがん発症の関連性について、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は31日、「聴神経腫瘍や(脳腫瘍の一種である)神経膠腫の危険性が限定的ながら認められる」との調査結果を発表した。WHOの組織が携帯電話に関して発がん性を指摘したのは初めて。国際がん研究機関は、危険性の数値化はしていない。

こういうことをいうときは,ちゃんと定量的な物言いをしないといけません.限定的な危険性があるというのが,いったいどのようなことなのか言わないと,何の価値もないどころか,かえって害になる情報です.おつむのピーーー(自己規制)な人にこのような中途半端な情報を与えるとすぐに「携帯電話は危険だ!禁止すべき」なんてことを言うでしょう.(で,そういう人に限って携帯電話を持っていたりする.苦笑)

例えば太陽光に当たりすぎると皮膚ガンの原因になったりすると言われていますね.でもそれはかなりの量を浴びないと影響は出ないでしょう.こういう場合はどの程度浴びたときガンになる可能性が何パーセント増えるかという評価をします.例えば仮に「東京地方夏至正午の快晴の日照強度とし,1日に20時間太陽の光を連続して40年浴び続けたとき,全く浴びないときに比べ皮膚ガンになる人数が倍になる」というような言い方(あ,もちろんこの例は極端な仮定の話ですよ)をすれば,1日に昼は20時間もないし,夏至も毎日は続かない,仮定にしてもそもそも普通に生活していてそのレベルに達することはあり得ないな,という判断が出来るでしょう.(たとえ話が極端で数字に根拠もありませんが,こういう風に数値を入れるべきという例え話です)

すべての日本の携帯電話は使用者にどれだけの高周波の被曝があるのか考えて設計されています.その被曝量にしても電波防護指針を守ることはもちろん,更に安全を見込んだ余裕のある設計をしています.報道されている報告内容において,危険性が増大すると考えられる電磁界強度を記述していないのは研究機関の発表としては無責任ではないでしょうか.
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Commented by BWT at 2011-06-01 14:59 x
この記事には、コーヒーと同じ位と書かれていますね。つまり、コーヒーにも脳腫瘍の原因となると。
でも、確か別の記事では、コーヒーはガン予防に効くとも書いてあった気が。
携帯電話の電磁波がガンに効くかどうかは知りませんが、あまりに不安をあおっても仕方ないですよね。SAR値でしたっけ。放射線が人体に与える影響度を表してμSv/Hという単位とにたやつが指針としてあったと思います。


確かに私は1200MHz 1Wを耳の横で発射すると頭痛がしますが。
→外部アンテナ使ってから頭痛が起きなくなりました。
Commented by JG2GSY at 2011-06-01 19:40 x
私自身は、この件に関する論文を読んだり、学会発表を聞いた訳ではなく、あくまで想像ですが、おそらく、この記事を書いた記者は十分な科学的知識を持っていないと思われます。

研究機関は、「電磁波とがん発症の関連性が一部の患者で疑われるが、普遍的な事実であると断言するには症例数が少なく、統計学的に正しいか否かは現段階では不明」と発表したものと想像します。

例えば、「聴神経腫瘍の患者10人について調べたところ、そのうちの1人が毎日10時間も携帯電話を使っていた」という事実があっても、「その1人が単なる偶然なのか」、それとも、「聴神経腫瘍の10分の1は携帯電話が原因なのか」は、(1)1000人の聴神経腫瘍患者と1000人の健常者で、携帯電話の使用時間を統計学的に比較するか、(2)毎日携帯電話を10時間使う1000人と全く使わない1000人で、聴神経腫瘍の発症率を統計学的に比較する必要があります。(人数が多いほど正確な結論が出る。)

無責任なのは、研究機関ではなく、人目を引くような記事を書きたがるマスコミであることがほとんどです。しかし、本当に無責任な研究機関も時々ありますけどね(笑)。
Commented by JK1FBA at 2011-06-01 23:08 x
これを言ってしまったら東京スカイツリー近辺の方々が心配になるのではないでしょうか。
Commented by jq1ocr at 2011-06-01 23:15
なるほど,マスコミがおかしい可能性も十分ありますね.最後の「危険性の数値化」をしていないという部分で定量評価はなされていないと推測しましたが,確かに文句を言うなら原発表を見てからじゃないと,マスコミのフィルタ後だけではいけないですね.反省.
Commented by JG2GSY at 2011-06-02 18:59 x
WHO の HP(http://www.who.int/en/) の WHO highlights から、Radiofrequency electromagnetic fields are possibly carcinogenic という press release がダウンロードできます。全文を読みましたが、やはり、私が予想した通りの内容でした。

以下はその内容の要約です。
現時点では、携帯電話などの電磁機器による発癌性を肯定するだけの十分な科学的データーがないが、今後さらに多くの科学的データーが集まれば、近い将来、携帯電話の使用が脳腫瘍発病の原因になるという結論が「得られるかもしれない(=得られないかもしれないという意味)」。まだ確定的な結論を出すには時期尚早であるが、世界中で非常に多くの人が携帯電話を使用している現状を考慮すると、注意を喚起する意味で、(中途半端な)推論であっても現時点で発表すべきと考えた。

「危険性がないとは言えないので、今のうちから注意するにこしたことはない」、「発癌の危険性は XX 倍と結論できるだけの科学的データーはなく、今後も引き続き研究が必要」と言っています。日本のマスコミは、英語の「possibly」というニュアンスが理解できなかったのだと思います。
Commented by jq1ocr at 2011-06-02 21:43
わたしは IARC の Press Release を見ました.「ひょっとしたら」という感じですよね.で,そちらでは,10年以上毎日30分以上使うような人の場合は40%リスクが増大したというレポートがある,ということに触れています.ただしそれは2004年までにまとめらたデータの話(おまけにその論文の bibliography がついてない.なんだこれは!)で,今の携帯の出力レベルは各段に低いため,リスクは圧倒的に小さくなるはずです.
by jq1ocr | 2011-06-01 07:49 | 徒然話 | Comments(6)