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by jq1ocr

電気自動車は CO2 排出量削減に資するか?

前エントリのコメントで kuromiya さんがおっしゃったように,電気自動車は二酸化炭素排出量の削減に大きく寄与すると感じている人は多いでしょう.でも具体的な数値は分かりませんよね?では計算してみましょう.

まず計算のベースは前のエントリにあるリーフとノートにします.電気自動車のリーフは 24kWh で 200km 走れるとします.すると,1km あたり 0.12kWh の電力量を消費すると考えられます.次いでガソリン車のノートですが,ガソリン 1L で 25.2km 走れるとすると,1km あたり 0.0397L 消費することになります.

さて,これらからの二酸化炭素排出量を計算してみましょう.本当は発電方法によって単位電力量あたりの二酸化炭素排出量は違うのですが,計算が面倒なので,ここでは資源エネルギー庁「エネルギー白書2007」より,当時原子力発電に次いで発電量の多かった石炭火力発電を考えます.送電端でのデータでは 975g/kWh (電力中央研究所報告資料)となっていますので,リーフが 1km 走るとき 117g の二酸化炭素を排出していることになります.一方,ガソリンは 1L が燃焼するときに生成される二酸化炭素は概ね 2360g とされていますので,ノートが 1km 走るときに排出する二酸化炭素の量は 93.7g となります.結局,この条件では電気自動車の方が二酸化炭素排出量が多いというショッキングな結果となりました.

ただし石炭火力は単位電力量あたりの二酸化炭素排出量が多い発電手法でありますので,最悪値を知るにはいいですが,ある種恣意的な計算となり,ここで考えている最終的な結論とは言えません.よって面倒がらずに計算を続けます.手元にデータがある 2005 年度の日本の電源構成比で計算してみましょう.
石炭火力 26%
石油火力 9%
LNG火力 24%
原子力 31%
水力 8%
その他 2%(地熱,太陽光,風力)
そして,それぞれの発電方法で排出される二酸化炭素量(g-CO2/kWh @送電端値,設備/運用も含む)は以下のデータを用います.
石炭火力 975
石油火力 742
LNG火力 608
原子力 22
水力 11
地熱 15
太陽光 53
風力 29
ちなみに電源構成比では地熱,太陽光,風力は分けられていなかったので,ここではそれぞれ同じ発電量ということにして,平均値である 32 で計算します.するとこれらより,475g-CO2/kWh という値が出てきます.ただしこの値は送電端であって,受電端では 10% ほど(資源エネルギー庁の総合エネルギー統計より)損失があります.これを加味すると,リーフは 62.3g/km の二酸化炭素を排出することになり,ノート(93.7g/km)と比べて3割ちょっと排出量が少ないという結果になりました.上記に示したような条件で計算すると,世の中で言われているほどには差がないような気がしますね.

ちなみに今後原発からの転換などを含め,石炭火力が増えていけば,最初に計算したように電気自動車の方が二酸化炭素排出量が少ないとは言えなくなるかも知れません.と,その前に二酸化炭素云々の話は,世の中が若干走りすぎている傾向があるなぁと個人的には思っているのですが,その話はまたいつか.
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Commented by BWT at 2012-10-06 13:37 x
この計算、自分でやってみようと思いつつ放置していて、いつかOCRセンセがやってくれる事を期待していました。ありがとう!
「思いのほか悪くない」のと「言ってるほど良くない」のが判りました。
Commented by jq1ocr at 2012-10-07 09:15
計算も前提が違えば結果も変わってきますが,入手したデータではこんな感じでした,ということで.
by jq1ocr | 2012-10-01 23:04 | 徒然話 | Comments(2)