アンテナアナライザでインピーダンスを測る(1)
2014年 05月 25日
ところでアンテナアナライザにもインピーダンスが複素表示されるものと,絶対値表示しかないものがあります.複素表示(スミスチャート表示含む)されていればマッチング回路を設計できますが,絶対値表示だけだと難しいです.実はうちのはそっちなんですね.そこでそういう用途にどのくらい使えそうか(複素表示にできるか)試してみることにしました.
まず 50 Ωの抵抗を接続した場合です.
メータを拡大するとこんな感じ.
さて,ここでは既知のインピーダンスを測りましたが,逆にアンテナアナライザの読みから,スミスチャートを使ってインピーダンスを求めてみましょう.
まず先ほどの計測結果を 80Ω , SWR=3.5 と読んだとします.するとまずは SWR=3.5 の円上のどこかに解があることになります.次いで 80 Ωの定インピーダンス円を描きます.
これらの交点を拡大しますとこんな感じになります.
ちなみに実は上の情報だけだと虚部の符号(容量性か誘導性か)は分かりません.45+j65[Ω]かも知れないのです.また実際のアンテナインピーダンスは,周波数を動かしたとき定抵抗円の上(虚部のみ変化)だけを動くわけではありません.ですが,周波数が少し動いた程度ではインピーダンスの変化も連続と見なせますので,その変化を観察すれば正負どちらかの判断はつくかも知れません.例えばこのケースの場合周波数をあげてみるとこうなります.
ちなみにリアクタンスが 0 の場合は,インピーダンスを 50 で割った商(1未満になった場合はその逆数)は SWR となります(*).この場合はわざわざスミスチャートを出してくる必要はないですね.hi
(*)すなわち表示されるインピーダンス値を 50 で割った数(1未満になればその逆数)が SWR と近ければ,リアクタンスは0に近い(≈共振状態)と言えます.
次はスミスチャートを使わない方法について説明します.((2)へつづく)