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by jq1ocr

アンテナアナライザでインピーダンスを測る(1)

QEX Japan 最新号(No.11)に VNWA3 が特集されているらしいので興味を持たれた方も多いのではないでしょうか.VNA は1ポート計測の場合入射波と反射波の振幅と位相を測定するので入力(複素)インピーダンス,VSWR などが分かります.しかし上空に設置されたアンテナのインピーダンスを知りたいからといって,VNA を無策で接続するのは危険な行為です.なぜなら強力な電波が入力されたり,アンテナが帯電していたりすると VNA の入力段が破損するのです.結局餅は餅屋,アンテナのインピーダンスを測るにはある程度手荒に扱っても壊れにくいアンテナアナライザが最近は安価に入手できますので,そういうのを使うと良いですね.(それでも近くで電波を出すと誤動作しますが.苦笑)

ところでアンテナアナライザにもインピーダンスが複素表示されるものと,絶対値表示しかないものがあります.複素表示(スミスチャート表示含む)されていればマッチング回路を設計できますが,絶対値表示だけだと難しいです.実はうちのはそっちなんですね.そこでそういう用途にどのくらい使えそうか(複素表示にできるか)試してみることにしました.

まず 50 Ωの抵抗を接続した場合です.
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メータを拡大するとこんな感じ.
d0106518_273131.png
当然 50 Ωで SWR=1.0 ですね.では 50 Ω に直列に 47pF を入れてみましょう.50MHz におけるリアクタンスは -68 Ω となりますので,インピーダンスの大きさは 84 Ωです.つないでみますと....
d0106518_210246.jpg
大体測れているようですね.

さて,ここでは既知のインピーダンスを測りましたが,逆にアンテナアナライザの読みから,スミスチャートを使ってインピーダンスを求めてみましょう.

まず先ほどの計測結果を 80Ω , SWR=3.5 と読んだとします.すると SWR=3.5 の円上のどこかに解があることになります.次いで 80 Ωの定インピーダンス円を描きます.
d0106518_2185444.jpg

これらの交点を拡大しますとこんな感じになります.
d0106518_21944.jpg
赤矢印()の点が交点です.ここは正規化インピーダンスが 0.9+j1.3 と読めますので,45-j65[Ω]となります.計算上は青矢印()で示した 50-j68[Ω]ですので,だいたい合っていることになります.

ちなみに実は上の情報だけだと虚部の符号(容量性か誘導性か)は分かりません.45+j65[Ω]かも知れないのです.また実際のアンテナインピーダンスは,周波数を動かしたとき定リアクタンス円の上(虚部のみ変化)だけを動くわけではありません.ですが,周波数が少し動いた程度ではインピーダンスの変化も連続と見なせますので,その変化を観察すれば正負どちらかの判断はつくかも知れません.例えばこのケースの場合周波数をあげてみるとこうなります.
d0106518_2294066.jpg
周波数変化に伴い単純変動しており,インピーダンスが少し下がって,SWR も良くなっていました. もし誘導性だとすると周波数を高くするとリアクタンスは大きくなって,結果としてインピーダンスの絶対値も大きくなります.ところが,周波数を高くしてインピーダンスが下がったと言うことは,リアクタンスが容量性であることを示していて,ここから虚部が負であると判断するわけです.(ただしこれはあくまでも変動が単純,すなわち定リアクタンス円に沿って動くような場合だけ)

ちなみにリアクタンスが 0 の場合は,インピーダンスを 50 で割った商(1未満になった場合はその逆数)は SWR となります(*).この場合はわざわざスミスチャートを出してくる必要はないですね.hi
(*)すなわち表示されるインピーダンス値を 50 で割った数(1未満になればその逆数)が SWR と近ければ,リアクタンスは0に近い(≈共振状態)と言えます.

はスミスチャートを使わない方法について説明します.((2)へつづく
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by jq1ocr | 2014-05-25 00:30 | 工具・道具 | Comments(0)