可変抵抗Aカーブの謎
2015年 01月 21日
上のようなタイプの場合は円弧状の抵抗体があって,そこをスライダが摺動します.実際この製品だとベーク板に抵抗体が塗布された構造です.
このような可変抵抗器は軸の回転角によって抵抗値が変化しますが,上で述べた構造だと回転角に比例するのが基本です.
さて最初に述べたように,円弧状に抵抗体を塗布した場合,固定端子からスライダまでの距離に抵抗値が比例しますので,Bカーブは簡単に実現できます.またCカーブもBカーブの可変抵抗に並列に固定抵抗をつなぐことで,その合成抵抗がCカーブ状になりますので,うまく定数を選べばこれも実現できそうです.しかし,Aカーブはそれほど簡単には実現できません.抵抗体の塗布の加減(幅や厚み,もしくは材質)をコントロールする方法なら可能ですが,そんな面倒な方法で作られているとも思えません.検索しても見つかりませんでしたし,一晩考えてみましたが,結局Bカーブにちょい足しするような簡単な回路構成で実現する方法は思いつきませんでした.
そこで残念ですが敗北感に苛まれつつ,模範解答を見ることにしました.市販されているAカーブの抵抗を実際に分解してみるわけです.
3k
12k
18k
27k
53k
と変化していることが分かりました(測定したのは100kAの個体です)
ぱっと見,抵抗体の種類が場所によって違うとか,幅が変わっているとかいうようには見えません.が,ルーペでよく見てみると,厚みが違うようです.
というわけで,思ったより高度な作り方をしていることが分かりました.とてもがっかりですが,これは要するに A カーブの実現はそんなに簡単ではないということを示しているのだと思います.一方 C カーブも現物は A カーブと同じように実現している可能性が高いですね.手持ちに C カーブはないのですが,いつか入手出来たら確認してみたいと思います.
さて実はある案件でAカーブよりも深い(Dカーブ的)変化をするような工夫が求められていました.それを簡単かつ安価にする必要があったのですが,この結果からすると,別のアプローチを考えたほうが良さそうです.