付録
2007年 08月 10日
まず詳細は電磁気学を勉強してもらうとして,結果から言いますと,電波のファラデー回転における回転角度は,他の条件が同じなら,波長の二乗に比例します.ですので,非常に大きなファラデー回転が観測された例としてあげた「4GHzでは最大9°」のとき,2.4GHzにおいて推定される最大回転角度θf は,以下のようになります.
θf = (4/2.4)2× 9°=25°
同様に 10GHz におけるファラデー回転角は高々 0.5° となりますので,衛星放送などで用いられている X バンドから Ku バンドあたりの周波数では,ほとんどファラデー回転の影響は受けないことが分かります.ただし,アマチュア衛星でよく使われている V/UHF 帯では影響が大きいので,円偏波が便利です.(例えば440MHzではこの条件で,最大744°になりますので,偏波面がどの角度になるかほとんど予想できないことになります.)
さて,偏波面が 25° ずれた場合,電界強度は cos 25° [倍]となるので,これを dB で表すと,
20log10(cos 25°) = -0.85 [dB]
となるわけです.Sメータは1目盛6dB程度を基準にしているようなので,ほとんどSメータの針の振れには違いが出てこない程度となります.または10D-FBの同軸を通したとき,4m程度余分にケーブルがあるのと同じくらいとも言えます.
またこれも同様に 10GHz における影響を計算すると, -0.0003 [dB]になります.ほとんど検出できない差しか出てこなそうだということがおわかり戴けるかと思います.
(*)計算がこれでも分からないという方に解説(分かった人には蛇足)
電界強度が cos 25°[倍]となるのはいいですよね?電力はこの二乗で
(cos 25°) 2[倍]
これをdBにすると
10log10(cos 25°) 2 = -0.85[dB]
です.本文中では電力から求めるのではなく,電界からそのまま求めていますが,結果はもちろん同じですね.
偏派と電解強度の関係はコサインなんですね。頭にベクトル図を浮かべて、これまた理解できました。
ここら辺のお話は1技あたりの試験にでるのかな?
やはり、第3者に解説して貰うと分かりやすいですね。
レベル的には,「回転角は波長の二乗に比例する」と問題に与えてあれば上級アマ,与えてなければ一技から二技くらいかなと思います.