アマチュア無線や電子工作,バイクの話などを徒然なるままに書き散らすメモ程度のblogです.


by jq1ocr

健康被害で携帯基地局撤去??

こんなニュースが!


異例!ドコモ、稼動中の携帯基地局撤去へ 公害調停で合意・産経新聞

 携帯電話のアンテナ基地局が発する電磁波で耳鳴りがするなど、健康を害されたとして、兵庫県川西市の住民らがNTTドコモ関西(大阪市)と基地局の土地を所有する阪急バス(大阪府豊中市)に対し、基地局の撤去を求めた公害調停が大阪簡裁であった。ドコモ側は健康被害を認めていないが、撤去を決めたため、住民側が調停を取り下げることで合意した。総務省によると、稼働中の基地局が撤去されるのは異例という。
 調停申立書などによると、ドコモは平成17年1月、阪急バス所有の土地を借り、同年12月、高さ20メートルの基地局を建設。その後、住民らは耳鳴りや吐き気などの体調不良が生じたとしてドコモに撤去を要請したが、受け入れられなかったため今年5月、公害調停を申し立てた。
 調停でドコモは「電磁波の量は国の基準を下回るごく微弱なもので、健康に影響はない」と主張。しかし、阪急バスが「住民とトラブルになった場合は契約を解除する」との契約条項に基づき賃貸契約解除を決めたため、ドコモが撤去を受け入れた。来年6月ごろに撤去を完了するという。
 NTTドコモ関西の話 「電磁波による健康被害は根拠がないと考えているが、地権者からの申し入れなので撤去に応じた」


被害を訴えている人たちの,体調不良の原因は実際に「基地局」かも知れません.ただし,それは「基地局自体」であって,「電磁波」ではない可能性も考えられます.個人的には,心理的な威圧感や漠然とした電磁波に対する恐怖が体調不良の原因ではないかと推測しています.この理由はあとから述べます.

しかし,ドコモもそこまでぐちゃぐちゃ言われてまでサービス続行する必要はないのではないか?と私は思うんですよね.いいじゃないですか,川西市にはいると携帯電話がつながらなくたって.....といっても,実際にそう思っているのは市民のごく一部でしょうから難しい問題です.

さてでは携帯電話による電磁波被曝の実際の量を考えてみましょう.基地局の出力がバーストで50W,送信アンテナの利得を仮に10dBi,基地局アンテナから100mの位置に住んでいるとします.すると,そこから推定(自由空間伝搬損失を用いた計算)される電力密度は4mW/m2です.

では携帯電話端末からの被曝はどうでしょう.端末の出力を0.8W,アンテナ利得を0dBi,アンテナと頭部の間の距離が5cmとすると,25W/m2 (=25000mW/m2) となります(*).もちろんこれは密度ですが,放射パターンを考えても基地局からの被曝とはかなり大きな差があります.

要するに基地局からの被曝よりも携帯端末自体からの被曝量の方がはるかに大きいのです.もちろん被害を訴えている人たちは誰も携帯電話など持ってないはずですが,近くにいる人がポケットに入れている携帯電話からの被曝はどうでしょう.電車に乗ったり,外を出歩けばいくらでもありえる状況です.同じ電力条件で距離だけ3mにしてみましょう.すると7mW/m2になります.基地局からの電波で被害があると主張する人なら,電車に乗ったりしようものなら間違いなく耳鳴りや吐き気がおきますね.

というわけで被害者の被害原因がどこにあるか考え場合分けをしましょう.

(1)いつでも,家にいなくても,周りに人がいるような環境にいると(電車に乗ったりしても)耳鳴りや吐き気がする→他の病気である可能性もありますが,そうでない場合は,本当に電磁波に対する感受性が高いのかも知れません.より深い精査が必要で,基地局の一時停波も考慮してもよいと思います.

(2)家にいると頭痛や吐き気がするが,外ではしない→基地局の存在による物理的な威圧感,または心理的な(物理的な害はないはず)電磁波に対する恐怖心による症状と考えられます.被害者に電磁波自体の害ではないことを理解してもらって,キャリア側は基地局の外観などを威圧感のないように変更することも考える必要があるでしょう.

(3)被害者も携帯電話を持っている→誰もまじめに対応する必要はありません.公共の福祉を考えない反社会的な行動であり,キャリアに対する賠償責任も出てくる可能性があります.

そういえば似たようなケースが以前にもあって,何らかの要望で撤去したところ,市民からクレームが続出して,役所からの依頼で再び設置したという話(正確ではないかも知れない)を聞きました.設置には億単位かかるはずで,当然その費用は役所持ちにすべきですが...まあ費用の件は実際のところはどうなったかは知りませんけど,個人で同じことしたら賠償しきれるのでしょうかね〜?



(*)計算式
電力密度 Pd
送信アンテナ利得 Gt
送信アンテナからの距離 d
送信電力 Pt

としたとき,


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Commented by BWT at 2007-12-18 19:26 x
久しぶりの計算検証シリーズ、堪能しました。

実は私、頭痛や吐き気の経験があります。
1.2GHz 1WのFMハンディで交信していた時です。
交互に数分間話をしていたと思いますが、頭の奥の方に鈍痛を感じ、同時に軽い吐き気を感じました。これだけ頭に近いと影響があるようです。ただし、他の人は大丈夫だったという話も聞きます。
すぐに屋外アンテナを設置して、手持ちで使用するのはやめました。

電波に(気持ち的に)敏感な人をデムパな人と言うらしいです。たまに宇宙と通信している人も居るとか。
ちなみに、総合通信局の役職には[電波課長]という肩書きがあるそうです。
Commented by jq1ocr at 2007-12-19 00:42
計算シリーズといっても単なる電力密度だからな〜.テクニック的にはTVが小さくなる理由の方が高度だったりします.ちょっとですけど.笑 読んでないようでしたらぜひ.
 
ところでアマチュアのハンディ機を頭部の近傍で使用した場合,電波防護指針に抵触するレベルの場所がある可能性があります.結局小電力であってもあまり近いと何らかの影響がある場合もあります.対してそこそこの電力であっても距離が離れていると電力密度は大したことはなくなります.

あと通信局では電波がつく部署は一つではないので,多分電波課長は複数いるんじゃないかと.電波部長もいますね.ちょっと格好良いなぁ.笑 「いつか俺も電波部長だっ」とか頑張ってる人もいるんだろうなぁ.ちなみにそっち関係の仕事もしていたので,大手町ではたまにお世話になっていました.(今は九段下ですね.移ってからは行ったことないな〜.航空局には行ったことあるけど)
Commented by BWT at 2007-12-21 18:49 x
テレビが縮小する話、あれは良く練られているのでコメントする隙もありませんでした。もちろん、あの話も大好きですよ。

とりあえずは、電波に関わるものとして、デムパなヤツとは呼ばれないように気をつけたいと思います。デムパ課長。
Commented by jq1ocr at 2007-12-22 02:16
実はあれからいろんな人に話を聞いてみたのですが,私の身の回りでもテレビが縮んでいく人が多発しています.これはもっとまじめに調べなければならないかも知れません.笑
Commented by BWT at 2007-12-27 10:50 x
この、「テレビが縮小する話」は私も経験が有ります。最近気がついたのですが、サイズが大きければ大きいほど、初期に縮小する率が大きいと感じています。
我が家に導入した42インチリアプロジェクションテレビジョン受像機ですが、以前の1ガン3ビーム陰極管式21インチから置き換えたときは、設置直後「無駄にでかい」と感じたものですが、設置から3日のうちに急激に縮小してしっくり収まってしまいました。その後も縮小は続けているのでしょうが、ほとんど感じられないペースではないかと思っています。
by jq1ocr | 2007-12-18 19:00 | 徒然話 | Comments(5)