アマチュア無線や電子工作,バイクの話などを徒然なるままに書き散らすメモ程度のblogです.


by jq1ocr

注目されない改正点

本来エイプリルフール限定で公開するつもりのエントリでしたが,コメントを戴いたので,冗談ネタだということを明記させていただいた上で,公開を続けることとしました.

なお,冗談な部分は他にも改正点があるという点,そして参考文献を含む,改正の趣旨に関する記述であり,他の理論的考察については冗談抜きで書いております.


みなさん,135kHz の新規割当や,7MHz の拡張などに気をとられてなのか,発効が他の改正との整合性をとるためにまだ先なためか,ほとんどの方はお気づきでないようですが,実は他にも大きな改正点がありました.それは「複数の送信装置を同時に使用しても良い」という改正です.ただし,複数の送信機を同時に一つの空中線に接続するのはいけません.なぜかというと,それは単に空中線電力を増大したに過ぎないですし,一つのアンテナにつながっていると,そもそもそれは一つの送信装置になってしまいます.しかし,ここでいう送信装置とは送信機と空中線の組み合わせのことですから,改正の趣旨からすれば,単にそれぞれの送信機にそれぞれの空中線を接続すればよいのです.

で,この場合,それぞれの送信機の位相を制御することができれば,実質上電力を増大させたことと同義になるのですが,今回の改正ではそれが可能になったわけです.

理論的に説明すると以下のようになります.

まず一つの送信機Aからの電波をある受信アンテナで受信します.このときの送信電力を Pt,受信アンテナにおける電界をEA,受信電力をPrとします.さて他の送信機Bから同様に送信電力 Pt を送信したとき,受信アンテナにおける電界はEBですが,送信機Aによる電界EAもあるので,受信アンテナにおける受信電界Eは重ね合わせの理(実際はベクトル和)によりEA+EBになります.送信機AとBの受信点からの距離が同じだとすれば,EA=EBですから,これらを =Eとおけば,2Eとなります.受信電界が Eのとき,受信電力はPrでしたから,受信電界が 2E になれば,受信電力は 4Pr となるわけです.理論的には n 個の送信機を使用すれば,受信側には n2 倍の受信電力を生起させることができるわけです.

ではこれを具体的に使用するにはどうすればよいでしょうか.例えば一番簡単な2組の送信機を使用すると考えましょう.その場合,一つの原発振器を用いて,それを2台の同じモデル(位相を考えるので)の送信機に接続します.またマイクをパラに複数の無線機に接続します(場合によるとマイクと送信機の間にアンプが必要です).送信アンテナは数波長離してスタックのように設置します.近いと相互インピーダンスの影響が出てきますから,離した方がいいのですが,あまり離すことは現実的ではないと思いますので,適当で構いません.通常のスタックはスタック分配・合成器により一本の同軸にまとめて一台の無線機に接続するわけですが,この方法ではそれぞれのアンテナからの同軸は,二台のそれぞれの無線機にそのまま接続します.これにより事実上2倍の空中線電力を供給しつつ,空中線や送信機の主要な構成を別系統にしているため,改正趣旨に沿う利用方法となるのです.

もちろん無指向性アンテナを使用し,それぞれの送信機の位相調整することによって,フェーズドアレーという,指向性調整機能を持たせることも可能なので,フェーズシフター(位相調整器)があれば,ローテータが不要になるという利点もあります.

しかし,この改正はどのような趣旨に基づいているのでしょう.あくまでも私見ですが,以下のような理由が考えられます.

まず近年問題になっている温暖化防止の観点です.熱収支を悪化させる原因はもちろん化石燃料の過大な消費ですが,これに対応するためには人工的に付加されたアルベド,すなわち単に地球からの反射ではなく,それ以外に放射するエネルギーをある程度確保することが重要となります.で,実はアマチュアに限らず無線局から放射されるエネルギーで宇宙へ放射される成分というのは意外と多いとの報告[1]があります.もちろん電離層による反射によって地球圏内にとどまる成分もありますが,VUHF以上ではほとんど通過して地球圏内から出て行ってしまいます.この分,地球の温暖化が抑えられるため,なるべく多くの無線機を使って欲しいわけですが,現在アマチュア局もどんどん減っていることから,このような改正が行われるのだと思います.(複数の送信機を同時に用いれば,それだけ見た目の無線局数が増加する)

あとはエコ問題にも少し似ていますが,電力の力率改善です.ご存じの通りモーターは力率があまりよくありません.すなわち実際の消費電力に比べ,電力会社が用意しなければならない容量が大きくなるのです.現在は指向性アンテナを用いて,ローテータでこれを回転させていますが,この改正により位相制御で指向性を制御するようになれば,ローテータが不要になり,その分モータが要らなくなるので,電力会社からすれば効率もあがるわけです.

と,まあみなさん注目していませんが,実はいろんな可能性を持った改正についての話を考えてみました.

Reference
[1]B. A. April and K. A. Fool, "Artificial cooling effect on the earth environment by radio wave radiation", IEEU Transactions on Earth Environment Problem, vol. uso-800, pp.1600-1607, Apr. 2008.
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Commented by WPJ at 2009-04-01 17:52 x
もー、まじめに考えてしまったぢゃないですか。
おかしいなぁ、合わないなぁと、真剣に考えてしまいました。

こりゃ一本とられました。それにしても、よく考えつきますね。おもしろすぎです。
Commented by jq1ocr at 2009-04-01 17:55
あれ?理論的にはあってるはずなんだけど....どこか間違ってるかな?笑
Commented by WPJ at 2009-04-01 18:30 x
以下のところなんです。

「・・・理論的には n 個の送信機を使用すれば,受信側には n2 倍の受信電力を生起させることができるわけです.・・・」

のところです。OCRさんの条件と、私の思い浮かべた条件が異なるのでしょうか。あれぇ?。

私は、ハンディー機が2台あって、2台同時送信したときと1台のときとで3dBの差が出るのを想像していました。・・・妄想かもしれません。
Commented by jq1ocr at 2009-04-01 22:29
ヒントをだしましょうか.ハンディ機が1台でアンテナが二つだったらどうなるでしょう?
Commented by JG2GSY at 2009-04-02 04:25 x
生物・化学系の私には、本当なのか、冗談なのかさえ理解できませんでした。ただ、ひとつ確信を持って思ったのは、「OCR さんはすごいな!!」ということです(これは本当の話)。
Commented by WPJ at 2009-04-02 09:53 x
大ヒントを有難う御座います。まんまと思い込みの落とし穴にはまっていました。

さすがっ、チーム+6dB。

私にとっては久しぶりの面白問題なので、とても感動しました。過去にも似たような小話がありましたが、今回もやられてしまいました。というか、自爆でしたね。
Commented by jq1ocr at 2009-04-02 17:37
>GSYさん
恐れ入ります.みなさんそれぞれ専門がありますので,みなさんすごいところがあると思うのです.偶然私は無線屋だっただけです.ちなみに改正点と温暖化問題に関する(文献含む)ことは冗談ですが,あとは真正です.

>WPJさん
まあ簡単なことなのですが,ちょっとした思いこみや計算間違いというのは誰にでもあると思います.私も出来るだけ正しいことを書こうと思ってはいますが,間違えることは結構あります.発見したら教えていただけると幸いです.

Commented by egv at 2009-04-06 22:18 x
しっかり、騙されてしまいました。3月末から話題になっている、Ghostnetも時期的には、エープリルフールなのですが...職場がレポートに載っている以上、他人事ではありません。日本のメディアは、中国に遠慮して黙っているのかな。
Commented by jq1ocr at 2009-04-06 23:35
ghostscript なら知ってるけど,ghostnet は知らないなぁ.というか,だまされるの遅すぎだよ〜.笑
by jq1ocr | 2009-04-01 17:48 | 徒然話 | Comments(9)