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金銭上の利益のためだけでなく、専ら個人的な興味によって行う自己満足、通信及び技術的遊戯のための備忘的ブログです。


by jq1ocr

【書評】ARRL Handbook

ARRL 百周年限定版の handbook は去年買いました
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ARRL handbook centennial edition, hardcover

しかし素朴な疑問ではありますが,なんでこの手の本を handbook というのでしょうね?この本は hand というには重くて,精々 laptop-book とか事実上は desktop-book と呼ぶべき重さです.それともこのくらいの本は彼らには軽い部類なんでしょうかね?確かに向こうの大学の教科書には広辞苑みたいに大きいのあったなぁ.笑 冗談はさておき,このような本でも息抜きに所々読んだりすると,時々新たな視点を発見するので楽しいですね.内容的には技術的な話がほとんど(*)ですが,とても良く出来ていると感心します.このような本を出せる ARRL(の組織力)はすばらしいと思います.英文が読める人には大いにお勧めできるアマチュア無線や電子工作ホビイストの入門としての良書といえます.今はシリアル入りハードカバー版は販売終了ですが,通常のソフトカバー版があると思うので興味のある方は購入されるとよいと思います.
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ソフトカバー版

もちろん日本語で読みたい人は多いですよね.私だって同じ内容が日本語であるならそっちを読みます.笑 それに回路で使われている部品も日米で違うモノも結構あって,互換品を見つけるのが面倒なこともあるんですよね,まあ近年は簡単に通販で買えたりもしますけど,秋葉で買えた方がいいですし.で,実は似たような感じのハンドブックを昔 JARL も出していたときがあるのですが,技術の話は少なめで,運用のことが多かったりしたような記憶があります.それでも出すことが大事だとは思うのですが,今の JARL にはそのような力はなさそうです.

さて ARRL Handbook の冒頭に ARRL の会員は約 155,000 名であると書かれています.FCC の免許数は71万強ですから,免許人口の 22% が会員であると言えます(もちろん FCC 免許がなくても ARRL の会員になっている人はいます.送付される月刊機関誌 QST (中身は JARL News というよりは CQ とトラ技を足して2で割ったような感じ)が目的でしょう).一方我らが JARL の会員数は約7万.局免数は436,000程度ですので 16% です.結構な差がありますね.QST の副題 Devoted Entirely to Amateur Radio(アマチュア無線に首ったけ)にも現れていそうですが,米国では自分たちのことは自分たちで,アマチュアのことはアマチュアのボランティアでやる,みたいな精神があって,無線資格の試験でさえもボランティア組織が行うわけですが,日本では親方日の丸に任せておけばいいみたいなところもあり,単なる趣味では片付けられない,国民性というかもっと文化に根ざしたところで違いを感じることは多いですね.もちろん良い悪いの話ではないですが,ARRL/JARL の活動に関する会員自身の関心の違いにも大いに関係してくる話ではありましょう.

(*)どのような内容か分かるように目次の章分けを紹介します.
イントロダクション
1. アマチュア無線って何?

基礎理論
2. 電気工学の基礎
3. アナログの基礎
4. ディジタルの基礎

実際の設計と原理
5. RF技術
6. コンピュータによる回路設計
7. 電源
8. 変調
9. 発信器とシンセサイザ
10. ミキサー,変調器と復調器
11. RF フィルタと AF フィルタ
12. 受信機
13. 送信機とトランシーバ
14. 隔測と測位
15. DSPとソフトウェア無線機設計
16. ディジタルモード
17. RF パワーアンプ
18. レピータ

アンテナシステムと電波伝搬
19. 無線信号の伝搬
20. 伝送線路
21. アンテナ

機器の工作とメンテナンス
22. 部品データと参考資料
23. 工作技術
24. アクセサリ機器
25. 測定装置と測定
26. トラブルシューティングとメンテナンス
27. RFインターフェア
28. 無線局の設置と管理

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by jq1ocr | 2014-02-08 17:30 | 徒然話 | Comments(0)