幸田露伴から続いての釣り文学,今回はこちら.
夢枕獏著・大江戸釣客伝です.最初,土左衛門が握っていた釣り竿の話から始まりますが,これは多分幸田露伴へのオマージュでしょうか.もちろん似てるなと思いましたが,あくまでそれは導入部だけの話.そこから釣りに魅せられた多彩な登場人物達の悲喜こもごもに広がっていきます.小説はこの前に幸田露伴を読んでいたので,比較すればこちらはめちゃめちゃ簡単に軽く読めます.実際にラノベレベル,まるで漫画を読んでいるような印象.ストーリー展開もいい感じ.本全体としては主人公は一人に決まっているわけではなくて,エピソードによって主人公は変わります.何人かの話が並行する釣り時代劇みたい.娯楽作で深く何かを考えさせられるという話ではないのですが,いろいろ知ってないと書けない話で,さすが太公望夢枕獏さんの釣り好きがにじみ出ている印象を受けました.とても面白いです.釣り好きならずとも楽しめる作品です.