Es に適した打ち上げ角
2008年 06月 23日
ところで Es での打ち上げ角は概ね 15 度程度と言われているようですが,実際にどの程度なのか計算してみることにしました.まずは図を描きます.仮に地球が平面であるとすると以下のようになるでしょう.
点A,B を地上の点,Es での反射点を C とします.AB間の距離 d は東京-北海道を仮定すると概ね 800-1000km 程度で,Es の高度 h は 100km 程度です.
すると打ち上げ角 a は arctan(2h/d) ですから,11-14 度程度となります.また15度になるのは距離が750km程度と計算できます.
しかし,これはあくまで地球が平面であるとしたときの話ですね.距離1000kmでは概ね中心角9度(*)となりますから,平面で近似してもそれほど大きな差はないように思えますが,一応計算してみることにしましょうか.ただしここでは等価地球半径は考えないことにします.
この図の角 CAO から90度を引くと打ち上げ角になります.角 AOC を x とし,図から計算式を考えると,
arctan{(r+h-rcos x)/rsin x} -x
となります.そして具体的な数値を以下のように入れてみます.
r=6360 km
h=100 km
x=4.5 deg(@d=1000km)
すると,仰角は9度と求まります.地球を平面と仮定したときは11度ですから,2度ばかり低くなることになりますね.これを大きな違いと見るか,誤差と見るかは考え方次第ですが,一応計算しておくべき問題かと思います.
ところで等価地球半径を導入した場合は,当然同じ作図をすると距離 d が延びる,すなわち,d を固定すると,仰角は大きくなりますので,平面と仮定したときの値に近づくはずです.
(*)360×1000/(6360×2×π)=9 deg