研磨していると,よくこんな声が聞こえます.苦笑 失敗する度に小さくなっていく石に悲しさを覚えながらも,輝きを持たせるためには仕方ないことなのです.
ちなみに今回の失敗はこれ.
写真ではわかりにくいともいますが,赤く丸をした部分が欠けています.これはドップスティックから石を外そうとしたときに,欠けてしまった部分なのです.パビリオン側も下手なりにできあがって,完成だ!というときにこの事故.初めてのブリリアントカットが.....
まあこういう失敗を重ねあげて,いつか納得できるカットができる日を夢見つつ,また石を粉にしていくのでした.
そうそう,宝石の研磨って見たことがない人が多いと思うので,使用前使用後を....
左が研磨前の原石です.これは fluorite (CaF
2,蛍石)という石で,もともとの結晶が八面体なんですね.ここからクラックのある部分などを避けつつ,作りたい形が最大になるように削っていくのです.削っているうちに,ここは削り取らないといけないとかいう部分が出てきたり,もちろん角度の取り方を失敗していくうちにどんどん小さくなってしまうので,原石の大きさと比べると,研磨後は右のようになってしまうわけです.上手な人だともうちょっと大きく取れるはずですが,基本的には予想以上に小さくなってしまうものです.
ですので,何気なく見ている宝石たちも,もともとはかなり大きな原石だったはずで,自分が研磨するようになってからは,モノの見方が変わって来ました.特に原石を見るときは,鉱物マニアだと「母岩にこんな風についているなんて格好いい!」とか「このインクルージョンがおもしろい!」なんて見るところが,研磨する人だと「どうやってとろう(良いカットを最大化する角度を考える)かな」なんて見るようになるんです.
さて,citrine(シトリン,黄水晶)をもらったから,次はこれをカットしようかな〜.