エッチング液の廃液処理
2008年 10月 22日
【注意】エッチング液の処理法を調べるために主に検索でいらっしゃった方へ申し上げます.私は本件に関して専門家でもなんでもありません.ここで示した処理法は適用できる範囲があくまでもごく少量の私的な場合に限られる可能性があります.当該薬剤の処理に関しては遵法の程,くれぐれもご注意ください.某所で話題になったエッチング液の廃液処理について書いてみます.エッチングでは塩化第二鉄が銅を溶かし込み,塩化銅を生成します.塩化鉄自体はそれほど危険な物質ではありませんが,塩化銅は有害です.特に河川に流れ込んだときの水棲生物に対する毒性は非常に高いと言われています.そのためエッチング液の廃液を下水に流してはいけないことになっているのです.
サンハヤトの廃液処理では,まず処理剤A(鉄 Fe)を入れます.
となり,銅が析出します.ついで,処理剤B(消石灰 Ca(OH)2)を入れますと,
となり,水酸化鉄と塩化カルシウムになります.これらは両者とも毒性は高くないため,そのまま処理できると思うのですが,サンハヤトではこれとセメントを混ぜて固めて捨てるように指示しています.真意はよく分かりません.
しかし,以下のように処理してもよいのではないかと思います.用意するのは消石灰だけ.これを入れると
となります.水酸化銅(Cu(OH)2)の毒性も高くないので,同様な処理(不燃物として廃棄)ができるはずです.
ちなみに水酸化銅は加熱すると水がとれて酸化銅となります.
こんな風に処理すると更に安全な酸化銅に変換できますが,水酸化銅自体が危険物というわけではないので特にそうする意味もないかと思います.
サンハヤトが処理剤を二種類入れているのは,念には念をいれているのだと思います.まず鉄を入れると塩化鉄が出来ますが,これの毒性は高くありません.しかし,処理がずさんだと塩化銅が残ってしまうかも知れません.そこでだめ押しで消石灰で処理しているのではないかと.セメントもだめ押しの一つで,セメント自体が加水凝固するとき水酸化カルシウムが出来ることと,固めるプロセスによって経時的に化学変化を促進させる役目があるのではないかと推測しています.
結論としてはサンハヤトのように屋上に屋を架す必要はなく,美術用品として扱われているエッチング液(*)と同様,十分な量を使えば消石灰による処理だけで十分なのではないかと思います.
(*)銅版画もプリント基板と同じように腐食液(エッチング液と同じ)を使い,廃液の処理が必要となりますが,その際に使われているのは消石灰で,その後の残滓をコンクリートで固めるようなことは一般に行われていないと思われます.ちなみに前に書いたことがあると思いますが,銅版画用の腐食液はサンハヤトのエッチング液よりとても安価(500mlで350円程度)で使いやすいです.
さて、こちらも廃液処理をしないと…